ブッダ(仏陀)

デリー国立博物館蔵

仏教の本尊である仏さまは、インドの言葉で「ブッダ」、それが漢字に写され「仏陀(ぶっだ)」となり、さらに略されて「仏(ぶつ)」と呼ばれます。

ブッダは「目が覚めた」というほどの意味で、もともとは人名ではありません。「怒っている」とか「歎いている」など人間の在り様を示した言葉で、真理に目覚めた人をインドでは「ブッダ(正覚者)」と尊称したのでした。

「目が覚めた」というのは、文字どおり夜が明けて目が覚めることです。夜中にどんな夢をみようが、目が覚めれば夢の出来事に喜びや怒りをおぼえる人はいません。目覚めれば、自分がどれだけ夢や幻に一喜一憂していたことを冷静に知ることができます。

そのように「ブッダ」とは、私たちの人生を覆う夢や幻から目覚めて、事実そのものに足をつけた生き方を指しています。それが可能となることを成仏といい、全仏教が目標としていることなのです。