もののけ姫とハンセン病

本日(2016年1月29日)の朝日新聞に、映画監督の宮崎駿さんが「もののけ姫」の一場面にハンセン病患者を描いたことを明らかにしたことが掲載されていた。

「もののけ姫」では石火矢衆と呼ばれる製鉄集団が出てくるが、その中に包帯姿で「業病」と呼ばれる人々が登場している。映画の公開当初からハンセン病患者ではないかと見られていたが、今回監督自らが明言したようだ。

朝日の記事では、宮崎さんが自宅近くのハンセン病療養所、多摩全生園を訪れた時の衝撃から登場させたそうである。宮崎さんは「深い苦しみが集積した場所」と感じ、全生園を「記念の場所として教訓を残してほしい」と講演で述べられたそうである。

ハンセン病は現代では治療可能な病気となったが、近代までは不治の病と見なされ「業病」と呼ばれた歴史がある。これは何かしらの悪業によりかかった病であるという仏教思想が背景にあったためである。そのため大谷派でも平成8年に「ハンセン病にかかわる真宗大谷派の謝罪声明」を出している。

「もののけ姫」を見る時には改めて注意したい場面である。