浄土真宗では位牌を作らない?
本日の朝日新聞に「位牌、私の死後は?」という特集が載っていた。人が亡くなった後の位牌のあつかいについて、その歴史や仏教の教えとの関係を書くものであった。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12668502.html
それを読むと、位牌は中国からはじまり、日本には鎌倉以降使われ、江戸の中ごろには民衆にも普及していった歴史があるようだ。ただし気になったのは、浄土真宗では位牌を作らないのが基本とされる、と書かれていたことだ。この書き方では真宗門徒に誤解をあたえる。浄土真宗では位牌は作らないが、法名を飾ることはする。これが正しい言い方だと思われる。
そもそも「位牌」は「霊位座牌」の略で、生前の身分や地位をそのまま死後の位とするものである。だから世間の上下の秩序を死後にも持ち込んで位牌は作られている。この考えは仏の前では誰もが同座であるとする、仏教の精神に反している。だから真宗は位牌は作らない。しかし死者がどこにいるのか、今どうしているのかを示すため、死者の法名を示した法名軸を作って、お内仏の中に安置している。
法名軸はお内仏の側面に飾るとされるが、大抵のお内仏では飾るには少しせまいため、こちらの地では「繰り位牌」と呼ばれる位牌型の法名飾りを用いる。「繰り位牌」と呼ばれるのは、中の法名を命日や法事ごとに交換できることからである。言わば位牌型の過去帳とも言える。だから位牌の形はしているが、上とか下とかとの秩序はない。
そのため浄土真宗では位牌は作らないが、亡き人の名を記した法名は飾るのである。