寺川俊昭先生の還浄

寺川俊昭(てらかわしゅんしょう)先生が9月28日に亡くなられました。93歳だったそうです。
先生は、大谷専修学院での報恩講に毎年法話に来られていました。学生の時分はお話を聞くだけでしたが、職員になってからは、お斎を皆でいただく機会があり、そこで上座に竹中院長先生と一緒に何やらお話をされていました。座の私たちはおふたりでどんなお話をといつも聞き耳をたてていました。

坊守と一緒になるときは、坊守が寺川ゼミだったため披露宴に来ていただき、その後も縁がつづいて上宮寺の図録に「佐々木月樵―その人と生涯―」という文を寄稿していただいたり、当地の展覧会で記念講演をしていただいたこともありました。

学院から谷大に行ってからも、退館はされていましたが特別講義や記念講話などでお話を聞く機会はありました。しかし2007年度の後期には体調を崩され中途で授業が終わってしまい、とても残念だった思い出があります。

その後は郷里で静養されていましたので、子どもが生まれたのを機会に思い切って先生に会いに広島まで行き、私は当時書いていた博士論文のテーマなどをお話しできました。論文の内容はインド仏教の唯識学派の問題だったこともあり、たいていの人はちょっと話すとすぐに興味をなくして話題を変えられてしまいましたが、寺川先生はきちんと最後まで聞いてくださいました。改めて先生の偉さに感動したのが、私が会った先生の最後のおすがたでした。

またおひとり御恩ある先生がお仕事を終えお浄土に還っていかれました。ありがとうございました。